タイの洪水情報

概要

  • タイの政府機関National Water Commandは、10月7日~10日にバンコク都、Nonthaburi県、Pathumthani県のチャオプラヤ川周辺で洪水リスクが高まるとの警告を発表しています。
  • 南シナ海で発生した台風Lionrockが10月10日~11日にベトナム北部へ上陸する見込みです。10月12日以降、タイ北部、東北部、中央部がこの台風の影響を受ける可能性があります。
  • チャオプラヤ川上流域のSirikitダムとBhumibolダムの貯水率は約50%です。いずれのダムもまだ貯水量には余裕があり、河川の流量をコントロールできる状況です。
  • 一方、PasakダムとKwaenoiダムの貯水量は、運用レベルの上限にほぼ達しています。これらのダムから放出される水量が増えることで、河川の水位が上昇するおそれがあります。
  • チャオプラヤ川下流域の水位は、ほぼ全ての観測地点で”Critical(警告)”に達しています。
  • 10月中旬まで、台風Lionrockによる影響およびチャオプラヤ川の水位を特に注視する必要があります。

National Water Commandの洪水警報

チャオプラヤダムからの放水量が増加することにより、AyutthayaのBangsai地区で最大3,050~3,150m3/秒の水が流下することから、National Water Commandはバンコク都、Nonthaburi県、Pathumthani県に洪水警報を発令しました。チャオプラヤダムから放出された水は10月7日から10日にかけてタイ湾に到達しますが、同期間は海面が上昇しているため、チャオプラヤ川の水位が30~50cm高くなる可能性があります。洪水リスクが高まる地域は、バンコク都、Nonthaburi県、Pathumthani県の堤防が設置されていない、または堤防外のチャオプラヤ川沿いの低地です。

今後の天気

タイ気象局の発表によると、南シナ海中部で発生した台風Lionrockが10月10日から11日にかけて勢力を強め、ベトナム北部に上陸する見込みです。10月12日以降、タイ北部、東北部、中央部がこの台風の影響を受ける可能性があります。

降雨量

  • 下図はそれぞれ、(左)2021年1月1日~9月1日における累積降雨量の平年(直近30年の平均降雨量)との差、(中央)2021年1月1日~10月7日における累積降雨量の平年との差、(右)2021年1月1日~10月7日における累積降雨量を示しています。
  • 左図と中央の図を比較すると、タイ東北部の西側(Chaiyaphum県、Nakhon Ratchasima県)、タイ北部の南端(Nakhon Sawan県、Uthai Thani県)、タイ中央部の北端(Lopburi県、Singburi県、Chainat県など)で、9月から10月初旬にかけて大雨が降り、1月1日からの累積降雨量が平年を大きく上回ったことが分かります(下図の赤い丸で囲われたエリア)。
  • タイ東部のRayong県、Chanthaburi県では、1月1日からの累積降雨量が平年を500mm程度上回っています。

ダム貯水量(Sirikitダム、Bhumibolダム)

貯水量:Sirikitダム(貯水率45%2021107日時点)

貯水量:Bhumibolダム(貯水率51%2021107日時点)

9月26日以降、Sirikitダムの貯水量は2%、Bhumibolダムの貯水量は6%増加しています。大洪水が発生した2011年と今年の10月7日時点の貯水量を比較すると、Sirikitダムは、2011年:9,409m3 ⇔ 2021年:4,268m3(45%)、Bhumibol Damは、2011年:13,307m3 ⇔ 2021年:6,929m3(52%)です。いずれのダムもまだ貯水量には余裕があり、タイ北部で大雨が発生しても、河川の流量をコントロールできる状況です。

ダム貯水量(Pasakダム、Kwaenoi ダム)

貯水量:Pasakダム(貯水率95%2021107日時点)

貯水量:Kwaenoiダム(貯水率95%:2021年10月7日時点)

PasakダムとKwaenoiダムの貯水量は、運用レベルの上限にほぼ達しています。これらのダムは2011年9月中旬にもこのレベルに達していました。今後はダムの貯水量を減らすためにダムからの放水量が増え、河川の水位が上昇することが予想されます。

チャオプラヤ水系の河川水位(チャオプラヤダム上流:2021年10月7日時点)

チャオプラヤ川上流域の水位は、9月27日以降もわずかに上昇しています。Yom川、Nan川、および4つの川の合流地点の水位は、引き続き”Critical(警告)”レベルに達しています。

Water Situation in the Chao Phraya River
7th October 2021

【備考】

①河川の中に示されている黒文字の数値:河川流量(m3/sec)

②上記①の近くに示されている括弧付きの数値:当該地点の限界流量(①の流量が②の流量以上となった場合、洪水が発生)

③上記②に付随する「アルファベット+数値(例:N.67)」: 観測所の名称

④緑文字・-(マイナス)付きの数値:堤防天端から河川水位までの距離(0になった場合、洪水が発生)

チャオプラヤ水系の河川水位(チャオプラヤダム下流:2021年10月7日時点)

チャオプラヤ川下流域の水位も9月27日から上昇しています。ほぼ全ての観測地点で水位が ”Critical(警告)”に達しており、Ayutthaya、Saraburiで河川氾濫が発生しています。

Water Situation in the Chao Phraya River
7th October 2021

【備考】

①河川の中に示されている黒文字の数値:河川流量(m3/sec)

②上記①の近くに示されている括弧付きの数値:当該地点の限界流量(①の流量が②の流量以上となった場合、洪水が発生)

③上記②に付随する「アルファベット+数値(例:N.67)」: 観測所の名称

④緑文字・-(マイナス)付きの数値:堤防天端から河川水位までの距離(0になった場合、洪水が発生)

 

参照

  • https://www.prachachat.net/economy/news-775218
  • https://www.tmd.go.th/list_warning.php
  • http://www.arcims.tmd.go.th/dailydata/yearRain.php
  • http://www.thaiwater.net/water/dam/large
  • http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/Chao_up.php?cal2=01092021
  • http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/Chao_low.php?cal2=01092021

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