タイは活気にあふれた旅行先であり、にぎやかな都市から美しい自然景観まで、さまざまな魅力がある国です。しかし、現地の交通事情や運転文化に慣れていない外国人にとって、タイの道路を利用するのは難しい場合があります。主要都市での交通量の多さ、突然の車線変更、道路を共有する多数のバイクなどが理由に挙げられます。
タイ道路安全センター (the Thailand Road Safety Center, ThaiRSC) のデータは、タイの交通事故に関するより幅広い情報の他、外国人を含んだ事故についての情報を提供しています。2025年には、合計32,352人の負傷者および579人の死亡者が報告されました。バイクは全事故の約89.5%を占めています。これらの統計値は、バイク事故がタイの道路における事故の主要因となっていること、および関連するリスクを浮き彫りにしています。事故発生率は旅行のピーク期、特に12月から1月にかけて高まっており、これは新年などの長期休暇と時期が重なっています。報告された事故の数が最も多い県は、バンコク、プーケット、チェンマイ、チョンブリー、サムットプラカン、スラートターニー、パトゥムターニー、チェンライ、ラーチャブリー、ナコンパトム(Bangkok, Phuket, Chiang Mai, Chon Buri, Samut Prakan, Surat Thani, Pathum Thani, Chiang Rai, Ratchaburi, and Nakhon Pathom)でした。国籍別にみると、交通事故に巻き込まれた人はミャンマー、ラオス、カンボジア、ロシア、中国、米国、ベナン、北マケドニア、フランス、バミューダなど、幅広い国籍などが掲げられていました。
以上から、自動車およびバイクの運転、ならびに歩行時の安全対策を理解することは必要不可欠です。本記事は、外国人がタイをより安全かつ安心して旅行するための重要なガイドラインを提供することを目的としています。
タイの道路を利用する外国人のためのチェックリスト
有効な国際運転免許証 (International Driving Permit、IDP) またはタイ運転免許証の携帯
適切な保険への加入
適切な安全装置の常時着用(ヘルメットやシートベルト)
運転前の車両点検
事前のルート計画
運転前および運転中にアルコールを摂取しないこと
タイで外国人が巻き込まれた交通事故
タイの道路事情はは複雑かつ流動的です。自動車、バイク、公共交通機関、歩行者の全てが同じ空間を共有しており、それぞれの動きはしばしば予測不可能です。バンコクのような大都市では、突然の車線変更、車の間を縫って走行するバイク、急停止などは日常茶飯事です。地元の人にとっては普通のことかもしれませんが、タイの独特の交通環境に慣れていない観光客にとっては、非常に難しいと思われます。
1. 自動車運転手によるバイク運転手へのあおり運転
この事件はバンコクのスクンビット道路で発生しました。バイクの運転手と自動車が軽微な衝突に巻き込まれました。衝突の後、両者は口論になり、運転手が複数の車線を越えてバイク運転手を追いかけて衝突し、ライダーはバイクから放り出され柱と衝突しました。その後、その際の怪我が原因でバイク運転手が死亡しました。この事件は、悪質なあおり運転や感情的な反応によって、些細な事故がいかにして死亡事故へとエスカレートし得るかを浮き彫りにしています。このような状況を防ぐため、道路利用者は常に冷静さを保ち、衝突を避け、適切な法的ルートを通じてトラブルや紛争を解決する必要があります。さらに今回の事故はタイの交通環境を如実に反映しています。タイでは、デリバリーを含みバイクが広く利用されており、路上でトラブルや紛争が発生する可能性が増加しています。
2. アラブ首長国連邦(UAE)の観光客によるPhang Nga県で複数バイクの衝突事件
この事故は、Phang Nga県のPhet Kasem道路で発生しました。UAEからの4人の観光客のグループが、車列を組んでバイクに乗っていたところ、彼らのバイクの間で深刻な衝突が発生し、1人が死亡、3人が負傷する事故となりました。この事故は、特に高速道路で安全な距離を維持せずに集団走行することの危険性を浮き彫りにしています。このような事故を防ぐために、ライダーは常に安全な車間距離を保ち、集団走行を避け、周囲の交通状況に十分に注意を払う必要があります。
Chonburi県パタヤのMabprachan貯水池近くで、夜間に外国人男性がバイクを運転していたところ制御を失い、駐車していたトレーラーに衝突しました。その後、バイク運転手は死亡しました。この事故は、視界が悪く障害物を発見することが困難な夜間の走行の危険性を強調しています。これらのリスクを最小限に抑えるために、ライダーはスピードを落とし、適切な照明を使用する必要があります。また、視界が悪い状況で移動する際には細心の注意を払う必要があります。
4. 道路横断中に衝突されたアイルランド人観光客の事件
Phang Nga県で、54歳のアイルランド人男性が夜間に道路を横断中にSUVにはねられ、その後その怪我が原因で死亡する事故が発生しています。この事故は、視界が悪い状況や、自動車が歩行者に道を譲らない場合における、歩行者の脆弱性を浮き彫りにしています。安全性を向上させるために、歩行者は可能な限り指定された横断歩道を利用し、左右両方向から慎重に交通状況を確認した上で、横断前に車両が完全に停止していることを確認する必要があります。
これらの事故は、特に現地の交通状況や運転行動に慣れていない可能性のある外国人観光客にとって、タイの道路における現実的かつ継続的なリスクを反映しています。このような不慣れな状況は、事故の可能性を著しく高める可能性があります。これらのリスクを軽減するために、観光客は現地の交通ルールを理解し、異なる道路環境に注意を払い、タイで運転、乗車、歩行する際に安全な習慣を身につけることが不可欠です。
外国人がタイで知っておくべき基本的な交通ルール
1. 運転システム
左側通行
タイは左側通行のため、右側通行に慣れている観光客にとっては特に難しい状況になっていると考えられます。ドライバーはハンドルの位置、方向転換、ミラーの使用の違いに適応する必要があります。特に、複数の方向から交通が流れる交差点や環状交差点(ラウンドアバウト)では、より注意が必要になります
信号機
タイにおいても交通信号は国際基準へ準拠していますが、実際の状況では赤信号を無視したり、黄色信号を無視して加速したりするなどの違反が発生する可能性があります。そのためドライバーはより注意を払う必要があります。タイの交通の特徴は、バイクが頻繁に車線間を縫うように走ることであり (lane splitting、すり抜け運転)、コミュニケーションの一形態としてクラクションを使用することもよく見られます。
柔軟な運転行動
タイでは、赤信号での左折可否は交通標識によります。「常時左折可」または「安全な場合は左折可」などの標識がある場合、ドライバーは減速して歩行者に道を譲り、右側からの対向車に道を譲ってから左折することができます。標識が「青信号で左折可」を示している場合、ドライバーは停止して信号を待たなければなりません。標識がない場合、ドライバーはすぐに左折するのではなく、青信号を待ち、安全を確認してから左折しなければなりません。
前車の急停止、および路上駐車などに遭遇する可能性も鑑み、ドライバーには慎重な確認と予測が求められます。さらに、横断歩道では車両が必ずしも道を譲るとは限らないため、歩行者は注意を払う必要があります。
安全装備の義務
シートベルト (ドライバーおよび同乗者) およびヘルメット (ライダーおよび同乗者) の着用は法律で義務付けられています。
2. 運転免許証
必要書類
タイで運転を希望する外国人は、国際運転免許証 (International Driving Permit、IDP) と自国の有効な免許証を携帯するか、法的に発行されたタイの運転免許証を所持している必要があります。運転年齢の下限は、一般的に自動車の場合は18歳、バイクの場合は15歳になっています。IDPなしで運転すると、事故の際に保険が無効になる可能性があります。
ほとんどのレンタカー会社は、法的な運転資格を確認するためにIDPを必要とします。IDPがない場合、法律に違反するだけでなく、事故が発生した際に保険が適用されない可能性があります。
3. その他の重要な法律
携帯電話の使用
運転中に運転手が携帯電話を使用するにはハンズフリー機器を使用しなければなりません。注意散漫になると事故のリスクが増加するためです。
制限速度
制限速度は地域によって異なります。一般的に、都市部では50 km/hから80 km/hの範囲ですが、高速道路では90 km/hから120 km/hの速度が許可されている場合があります。掲示された制限速度標識へ常に注意を払い、掲示された制限速度に従ってください。
飲酒運転に関する法律
タイでは、20歳以上の運転手の血中アルコール濃度 (BAC) 制限を0.05%、20歳未満の運転手には0.02%と定まれています。これは外国人観光客を含むすべての運転手に適用されます。制限を超えると、罰金や懲役が科される可能性があります。アルコールは身体反応を遅らせるため、交通事故の発生リスクを高めます。
交通標識
タイの交通標識にはタイ語と英語の両方が含まれているものもありますが、多くは記号またはタイ語のみを使用しており、他の国のものとは異なる場合があります。道路状況を把握し、安全に運転するためにも、事前に確認することをお勧めします。交通標識は、一般的に、規制標識、義務標識(必須標識)、警戒標識の3つの主要なタイプに分類されています。
規制標識
従わなければならない交通法や規制を示しています。標識は赤い枠線の付いた円形、または文字のはっきりした長方形で、多くの場合は禁止事項を示す記号が使用されています。
義務標識・必須標識
安全な交通の流れを確保するために特定の行動をとるよう運転手への指示になっています。
標識は青い背景の円形で、白い記号が描かれており、必要な方向を示されます。
警戒標識
潜在的な危険や道路状況の変化について運転手への警告になっています。標識はダイヤモンド型で、黄色の背景と黒い記号があり、迅速に注意を引くように設計されています。
タイでの安全運転
タイでの運転には交通法規の理解だけではなく、現地特有の運転行動に適応する能力も必要です。ドライバーは道路の左側を通行し、掲示された制限速度を守り、車線変更や曲がる前には必ずウインカーを使うことが求められます。しかし実際には、ドライバーは前方車両の急ブレーキや、警告なしに横からバイクが割り入ってくるなどの予期せぬ状況も想定しなければなりません。
バンコクのような大都市では交通量が多く、自動車が常に道路を走っています。ドライバーは安全な車間距離を維持し、混雑した場所ではスピードを出さないようにすることを心がける必要があります。さらにタイでは、クラクションが使用されることが一般的です。イライラの表現としてではなく、他の運転者に警告するために、短いクラクションが使用されています。これらも外国人運転者が現地の運転文化の一部として理解すべき内容です。
注意すべきポイント
特にラッシュアワー時には、割り込みするバイクや、他の車両による突然の車線変更にも常に注意をする必要があります。ドライバーの中には周囲の交通状況へ完全に速度を合わせていない人もいるため、事故のリスクが高くなる可能性があります。さらに、信号が青になると急加速するドライバーもいれば、赤信号を無視するドライバーもいます。また、明確な警告なしに突然停止したり、停車したりする車両に遭遇することもよくあります。
タイのバイクの安全性
バイクはその利便性と交通量の多い交通を対応できる能力により、タイで最も人気のある交通手段の1つです。しかしこの柔軟性には、他の車両と比較して非常に高いリスクが伴います。 Riders should always wear a certified helmet and avoid high speeds, especially in unfamiliar areas. ライダーは認定されたヘルメットを常時着用し、特に不慣れな地域では高速運転を避ける必要があります。 バイクが車線間を縫うように走行したり、道路端に沿って走行する様子、ならびに車両間の小さな隙間を通過したりすることもよく見られます。特に混雑した地域では、ライダーは交通の方向に逆らって短い距離を走行することもあり、事故のリスクをさらに高める可能性があります。
タイの道路状況は、滑らかな高速道路から、でこぼこした路面、くぼみ、砂や砂利の道路まで、大きく異なることがあります。これは、島嶼部や山岳地帯などの観光地で特によく見られるもので、バランスを保つことがより困難となります。夜間の走行時は照明が制限され、予期せぬ障害物の可能性があるため、特に注意が必要です。
注意すべきポイント
高速走行中にカーブへ進入することはバイクのコントロールを失う可能性があるため、ライダーはカーブ走行の際は特に注意が必要です。特に凹凸のある道路や砂地の道路、または滑りやすい路面は、バイクの安定性をさらに低下させる可能性があります。
有効な運転免許証を常に携帯していることも重要です。免許証なしでの走行は違法であり、事故の際に保険が無効になる可能性があります。さらに、ライダーは周囲の交通に注意を払う必要があります。特に死角や急な車線変更の際には、他の車両がバイクに気が付かない可能性が大きいと言えます。
タイの歩行者の安全
徒歩は最も安全な移動手段のように思われるかもしれませんが、タイの歩行者は最も交通弱者であると考えられます。歩行者は、利用可能な場合は横断歩道、歩道橋、または信号機を使用し、道路に出る前に必ず左右両方向から交通状況を慎重に確認する必要があります。
一部の地域では、露天商、駐車されたバイク、または路面状態の悪さにより、歩道が不整地、閉塞、不連続な状況になっている可能性があり、歩行者は車両と一緒に道路を歩かなければならない場合があります。この状況は、交通事故のリスクを大幅に高めます。さらに夜間は視界が悪くなるため、ドライバーが歩行者を認識することが難しくなります。
注意すべきポイント
標識のある横断歩道でも、全てのドライバーが停止するとは必ずしも言えません。歩行者は、横断する前に周囲の車両が完全に停止したことを確認する必要があります。標識のない場所での横断は避け、複数車線の道路では高速で走行する車両に注意してください。
まとめ
外国人としてタイの道路を利用するには、交通法律の理解、およびタイ独自の環境に適応する能力が必要になります。事故の主な原因は、複雑な交通状況、バイクの多さ、および交通ルールに従わない可能性のある運転行動などがあり、これらが交通事故のリスクを高めます。この傾向は、高水準が続く交通事故統計、ならびに運転中、団体移動中、および徒歩移動中に被害を受けた観光客の実例からも明らかです。
道路の左側通行、有効な運転免許証の保持、および安全規制の遵守など、基本的な交通ルールを知ることも重要になります。自動車やバイクでの移動、または徒歩など、それぞれの移動手段には注意点があるため、それぞれのリスクを認識しておくことも大切です。
最終的には、正しい書類を携行し、安全装備を身につけ、事前にルートを計画するなど、適切な事前準備がリスク軽減のために重要な役割を果たします。正しい知識と意識を持つことで、外国人観光客はタイの道路をより安全に、そして自信を持って移動することができます。
参照
- https://www.who.int/docs/default-source/thailand/roadsafety/thailand-status-against-12-global-road-safety-performance-targets.pdf
- https://takemethailand.com/travel-tips/arrival-insights/driving
- https://www.thailandroutes.com/driving-in-thailand-2025-complete-guide-for-foreigners-tips-traffic-rules-and-drivers-license-requirements/
- https://www.khaosod.co.th/breaking-news/news_9599534
- https://www.khaosodenglish.com/news/2025/12/13/uae-tourist-killed-as-four-motorcycles-crash-in-phang-nga/
- https://www.pattayamail.com/news/foreign-motorcyclist-killed-in-late-night-crash-off-pattaya-near-mabprachan-reservoir-529798
- https://www.thesun.ie/news/14899610/irish-tourist-killed-struck-car-thailand-crossing-street/
- https://safeeducationthai.com/turn-left-sign/
- https://www.thairsc.com/