台風Pabukの概要
2019年1月3日にタイ気象局(Thailand’s Meteorological Department)は、台風Pabukがタイ南部に上陸する可能性が高いことを公表しました。本台風の名称「パブーク」は世界気象機構(World Meteorological Organizations Typhoon Committee)のメンバーであるラオスによりメコン川に生息する大型淡水魚にちなんで名付けられています。
台風パブークは南シナ海で発生した後、時速25kmの速度でタイ湾へ南方から接近しており、1月4日または1月5日頃、タイ南部に上陸する見込みです。最大風速は時速65km(秒速18m)程度であり、過去に大雨や高波を発生させた大型台風と比較すると小規模ではあるものの、厳重な警戒が必要です。
タイは台風の影響を受けやすいエリアに位置しており、過去35年の間に台風Gay(1989年)、台風Linda(1997年)等により大きな被害が発生しています。台風Gayは同期間にタイを襲った最大の台風であり、僅か数時間の間に低気圧から台風に発達しました。台風Gayは1989年11月4日、タイ南部のChumphonに時速185km(秒速51m)の強風を伴って上陸し、446名以上が死亡するなど広範囲に渡って大きな被害が発生しました。一方、台風Lindaは1997年10月31日に南シナ海で発生し、時速80km(秒速22m)の風速を維持したままタイを横断しました。同台風はベトナム南部でも大きな被害をもたらしており、3,000名以上が死亡したと伝えられています。
台風Pabukはこれらの台風より風速は遅いものの特にタイ南部における被害が懸念されています。
台風Pabukによる影響
タイ南部のPattani、Yala、Pattalung、Songkhla、Nakhon Sri Thammarat、Suratthani、Chumphonの各県では、1月5日頃まで大雨や高潮による洪水に注意が必要です。これらの県の中でもNakhon Sri ThammaratとSuratthaniでは特に大きな被害が懸念されており、Nakhon Sri Thammaratでは既に20本以上の電柱が倒れ、多くの地域で停電が発生しています。また、Pattaniでは1名の死亡が確認されています。タイ南部の各県では住人やタイ湾の石油掘削業者に対して避難指示が発令されています。
有名な観光リゾート地として知られるタオ島、サムイ島、パンガン島でも安全な建物などに避難する必要があります。最大風速が時速85km(秒速23m)を超えると建物の窓、ドア、屋根などが被害を受けるおそれがあります。公共交通機関や観光地にも影響が出ており、Nakhon Sri Thammarat空港発着の航空便やいくつかのフェリーが運航を停止し、シミラン諸島国立公園、スリン島国立公園、アーントーン諸島国立公園は閉鎖されています。
今後の予測
タイ気象局によれば台風Pabukは1月4日から5日にかけてタイ南部を横断する見込みです。台風の進路付近では強風や大雨による洪水に備える必要があります。また、タイ湾、アンダマン海では高波への警戒が必要です。
なお、台風の進路や強さは時々刻々変化しますので、今後も引き続き状況の変化を注視することをお勧めします。
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