タイの洪水情報

[概要]

  • タイの今年の雨季は5月中旬から始まると予想されています。
  • 今年の降雨量は南部地域を除いて去年と近い状況です。
  • ラニーニャ現象の影響により雨季の前半に降雨量が増加しますが、6月以降はラニーニャからエルニーニョに変化するため、降雨量は少なくなることが予想されます。
  • チャオプラヤ川流域のすべての主要ダムの貯水量は乾季のため減少傾向にあります。しかし、去年と比較すると一部を除いて貯水量は多くなっています。
  • 5月8日時点で河川の水位は低いレベルとなっており、チャオプラヤ川流域の主要河川では洪水危険なしの状況です。

降雨量

下図はそれぞれ、(左)2021年1月1日~5月5日における累積降雨量、(中央)2022年1月1日~5月5日における累積降雨量、(右)2022年1月1日~5月5日における累積降雨量の平年(直近30 年の平均降雨量)との差を示しています。

2021年と2022年の5月上旬までの累積降雨量を比較すると、2022年は北部ではやや少ない傾向になっている一方、南部では多くなっています。これはラニーニャ現象が原因と考えられ、南部での累積降雨量は200-1200 mmになると予想されています。平年の累積降雨量と比較すると、今年の累積降雨量は特に北部と南部において大幅に高くなっている地域があります。

天気予報

5月の各地域の降雨量と降雨日数の予測を右図に示します。タイ気象局の月間天気予報によれば、5月後半には、前半と比較して東部地域を中心に降水量が増え、降雨の範囲はタイ全体の約40〜60%に及ぶ見込みです。南部地域では降雨量が増加し、波高は西側で2〜3メートル、東側のタイ湾で1メートルになると予想されています。これらの気象の変化は南東モンスーン1が南西モンスーンへ変化することに起因しています。さらに、北部地域ではモンスーントラフ2が断続的に形成される可能性があります。今年の雨季は5月中旬から始まると予想されており、タイ政府からは以下の洪水対策が発表されています。

※1:モンスーン=季節風(季節によって吹く方向が変化する風)。
※2:モンスーントラフは南北に移動する熱帯収束帯。熱帯収束帯では積乱雲が発達しやすく雨が多い。
  1. 洪水リスクがある地域と降雨が少ない地域の特定および対策の実施
  2. 低地における洪水対策、雨季が終わる前までの水の確保
  3. 大型・中型ダムの管理計画の見直し
  4. 排水設備と観測所の補修・復旧
  5. 排水路内の障害物の除去
  6. 水路の浚渫、雑草の除去
  7. 機械、設備、対応人員の確保および対応計画の準備
  8. 水収支に基づいた水管理の最適化
  9. 防水壁、堤防の点検
  10. 避難場所を示し、対応計画訓練を実施(5月以内)
  11. 洪水が発生前の地区対策本部の設置
  12. 市民とのコミュニケーション(雨季前・雨季時期)
  13. 状況に合わせた監視、評価、対策の実施

Hydro-Informatics Institute (HII) の所長によると、上半期は昨年9月から続いているラニーニャ現象の影響を受けますが、下半期(8月から12月)からはエルニーニョ現象に変わり、その影響で気候が変化すると予想しています。今年の3月と4月は熱帯低気圧の影響で断続的に雨が降っており、5月には更に雨が多くなりますが、6月から残りの期間の雨量は減り続けるとされています。

ダム貯水量(Sirikitダム、Bhumibolダム)

貯水量:Sirikitダム(貯水率38%:2022年5月8日時点)

貯水量:Bhumibolダム(貯水率42%:2022年5月8日時点)

年初のSirikit ダムの貯水量は低い状況でしたが、5月8日までの時点では2年前と近いレベルになっています。Bhumibolダムは2年前と比較すると貯水量は高いレベルで推移しています。

ダム貯水量(Pasakダム、Kwaenoi ダム

貯水量:Pasakダム(貯水率30%:2022年5月8日時点)

貯水量:Kwaenoiダム(貯水率39%:2022年5月8日時点)

PasakダムとKwaenoiダムの貯水量は直近2年と比較すると高いレベルで推移しています。

チャオプラヤ水系の河川水位(チャオプラヤダム上流)

Ping川、Wang川、Yom川、Nan川の水位は低くなっています。例えば、Nakornsawan 県では河川の水位は河川堤防より約9m低く、チャオプラヤダム上流のチャオプラヤ川の水位も堤防より大幅に低くなっており、チャオプラヤダム上流の河川において洪水危険はありません。

チャイプラヤ川の水位
2022年5月8日

【備考】
①河川の中に示されている黒文字の数値:河川流量(m3/sec)
②緑文字・+(プラス)-(マイナス)付きの数値:堤防天端から河川水位までの距離(0になった場合、洪水が発生)
③水位レベルのU/S、D/Sはm.で表示されています。

チャオプラヤ水系の河川水位(チャオプラヤダム下流)

チャオプラヤダム下流の状況は、チャオプラヤダム上流に似ています。 川の水位は堤防よりも低く、洪水危険はありません。

チャイプラヤ河川水位
2022年5月8日

【備考】
①河川の中に示されている黒文字の数値:河川流量(m3/sec)
②カッコに示されている数値:河川流量(m3/day)
③緑文字・+(プラス)-(マイナス)付きの数値:堤防天端から河川水位までの距離(0になった場合、洪水が発生)

参照

  • http://www.arcims.tmd.go.th/dailydata/yearRain.php
  • https://www.thaipost.net/general-news/132557/
  • https://www.tmd.go.th/monthly_forecast.php
  • https://www.tnnthailand.com/news/earth/112726/
  • https://www.matichon.co.th/local/quality-life/news
  • https://www.thaiwater.net/water/dam/large
  • http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/Chao_up.php?cal2=08052022
  • http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/Chao_low.php?cal2=08052022
  • https://www.pexels.com/photo/body-of-water-under-blue-and-white-skies-1533720


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