リスクマネジメント

リスクマネジメント

――リスクプランニングおよびリスクマネジメントのためのリスクの種類と要因の理解――

【要旨】

  • リスクマネジメントとは、組織が機会と脅威の両方をもたらし得る不確実性を特定、評価、および対応することを可能にする体系的なプロセスです。ISO 31000の原則に基づき、リスク要因、潜在的な事象、影響、および発生確率の評価が網羅されています。
  • 効果的なリスクマネジメントフレームワークは、リーダーシップのコミットメント、組織全体の整合性、解決策の設計、実施、評価、および継続的改善を統合し、戦略、運用、財務、および法的な領域全体にわたるレジリエンスを確保するものです。
  • 当該ガイドラインでは、コミュニケーション、状況の把握、リスク評価、対応、モニタリング、報告といった体系的な実践を重視しており、これらはすべて組織のあらゆるレベルに組み込まれる必要があります。

はじめに

リスクマネジメントは、組織の目標や日常業務に影響を及ぼす可能性のある不確実性への備えの中核をなすものです。リスクの種類とその要因を理解することで、効果的なリスクプランニングとマネジメントが可能になります。リスクマネジメントには緊急事態対応計画を策定することが含まれます。また、潜在的なリスクを評価・分析するためのシステムを確立することも実施されます。これらは、体系的な管理措置を実施する前に備えられるべきものです。リスクマネジメントにより、情報に基づいた意思決定が可能となり、将来発生しうる影響を軽減することができます。

リスクマネジメントの概要と重要性

リスクマネジメントとは、組織がリスクへの曝露を管理・統制するプロセスです。リスクとは不確実性がもたらす影響であり、それが好影響(機会)、悪影響(脅威)、あるいはその両方の結果となる可能性があります。リスクマネジメントへ情報を適用する前に、リスクを適切に評価する必要があります。一般的にリスクは、以下の要素から構成されます。

  • リスクの発生源
  • 起こりうる事象
  • 事象の結果
  • 発生の可能性

効果的なリスクマネジメントの枠組みは、職場に関連するリスクから、戦略的、業務的、財務的、および法的要因に起因するリスクに至るまで、多様なカテゴリーのリスクを組織が主体的に管理することを可能にします。定義された5つのレベルにわたってリスクを評価することで、組織は適切な軽減策や対応戦略を策定できます。

リスクマネジメントの枠組み

リスクマネジメントの枠組み(フレームワーク)は、リスクマネジメントを組織の中核的な活動に組み込むための構造化された基盤を提供します。その有効性は、経営トップのコミットメントと支援に大きく依存しています。ISO 31000に準拠したフレームワークの構築には、設計、導入、評価、および継続的改善が含まれます。このフレームワークには、以下のような主要な構成要素が含まれます:

  1. リーダーシップとコミットメント

経営幹部は説明責任を果たし、組織のあらゆるレベルでリスク関連の取り組みを積極的に支援することで、リスク管理において重要な役割を果たします。

  1. リスクの統合

リスクマネジメントは組織の構造や状況と整合していなければならず、リスク管理において全員が役割を果たす必要があります。

  1. ソリューションの設計

リスクマネジメントフレームワークを推進する上で、組織の内部および外部の状況に対する明確な理解が求められます。この取り組みには、役割と責任の定義、適切なリソースの配分、および効果的なコミュニケーションシステムの確立が含まれます。

  1. 実施

組織全体での積極的な参加とリスク意識の醸成が、不確実性を明確かつ体系的な方法で管理するために不可欠です。

  1. 評価

フレームワークのパフォーマンスは、既存のリスクマネジメントが組織の目標を引き続き満たしていることを確認するために、定期的に見直される必要があります。

  1. 改善

フレームワークは特定されたギャップや改善の機会に基づいて、継続的に開発および改善される必要があります。

リスクマネジメントのプロセス

ISO 31000「リスクマネジメントガイドライン」によれば、リスクマネジメントプロセスはコミュニケーションや協議、文脈の確立、リスク評価、リスク対応、モニタリング、レビュー、報告といった様々な活動を網羅する手順と実践から成る体系的なプロセスです。このプロセスは、戦略、戦術、および運用のあらゆるレベルにおいて、組織の構造と運営に統合されるべきものです。

  1. コミュニケーションと協議

このステップは、組織のステークホルダーがリスクを知り、リスクが様々な意思決定の背景にある理由を理解するのに役立ちます。コミュニケーションはリスクに対する認識を高め、ステークホルダーとの協議により効果的な意思決定を支える情報とフィードバックが得られます。

  1. 範囲、背景、基準の確立

組織はリスク管理の範囲を明確に定義し、外部および内部の背景(事業環境など)を理解するとともに、組織の目標とリソースに沿ったリスク評価の基準を設定する必要があります。

  1. リスクアセスメント

リスクアセスメントはリスク管理の中核であり、主に以下の3ステップから構成されます。

  • リスクの特定:戦略的、業務的、財務的、および法的な4つのリスク要因のカテゴリーを考慮し、組織の目標に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、記述する。
  • リスク分析:発生源、影響、発生確率、および想定されるシナリオなど、リスクの性質を理解する。手法には定性的または定量的なものが用いられる。
  • リスク評価:分析結果を定められた基準と比較し、さらなる対応が必要かどうかを判断する。意思決定を支援するために、5段階のリスク尺度を用いることができる。
  1. リスク対応

具体的にリスクへ対応するために、回避、軽減、移転、受容などのリスク対処手法が選択されます。対応策の決定にあたっては、費用対効果および組織目標との整合性を考慮する必要があります。

  1. モニタリングとレビュー

組織は、リスク対応の品質と有効性を向上させるために、リスク管理プロセスを定期的にモニタリングし、レビューする必要があります。

  1. 記録と報告

リスク管理の結果は、意思決定および将来のリスク管理戦略の策定を支援するために、体系的に文書化され、報告される必要があります。

図 リスクマネジメントのプロセス

リスク特定の手法

リスクの特定は、リスク評価プロセスにおける最初のステップであり、一連のリスク評価プロセスにおいて最も重要なステップの一つです。本ステップが後続ステップにおける正確な分析と効果的な意思決定の基盤を形成するためです。組織がリスクを包括的に特定できなければ、長期的な事業運営に影響を及ぼす可能性のある重要な要因を見落とす可能性が高まります。

実務においては、リスクを特定するために幅広い手法が用いられます。各手法の適性は事業の種類、業務の性質、関与するリスクの特性、および組織の具体的な重点分野によって異なります。したがって、リスクの特定が効果的であり、かつ組織の状況を真に反映したものとなるよう、適切な手法を選択することが不可欠です。

リスク管理のメリット

リスク管理は、特に不確実性がいつ発生してもおかしくない現代において、組織レベルおよび個人レベルの両方で大きなメリットをもたらします。組織は問題が発生する前にリスクを特定・管理することで、財務的損失、評判の毀損、およびリソース枯渇の可能性を低減できます。リスク評価は、機会と脅威の両方を考慮した意思決定のための包括的な情報を経営陣に提供します。効果的なリスク管理により、不測の状況下においても組織は継続的に事業運営を行うことが可能となり、顧客、投資家、および従業員といったステークホルダーの信頼を築くことができます。明確なリスク管理体制を持つことは組織への信頼を育み、イメージ向上と維持に貢献します。

まとめ

本記事では、ISO 31000に準拠したリスクマネジメントの枠組み=フレームワークの概要を紹介しました。このフレームワークは、リーダーシップのコミットメント、組織の整合性、ソリューションの設計、実施、評価、および継続的改善を統合したものです。このフレームワークにより、リスク管理が組織の中核的な活動に組み込まれ、経営陣によって支援されることが保証されます。

リスクマネジメントは、財務的損失、評判の毀損、およびリソース枯渇の軽減を図ります。また、確かな情報に基づいた経営陣の意思決定の支援、不確実な状況下での事業継続性の確保、そしてステークホルダーの信頼と信用の構築といった、大きなメリットをもたらします。レジリエンスと透明性を促進することで、リスクマネジメントは組織のパフォーマンスと評判を向上させます。

参考

Risk Management – Know it first, prevent it.

ISO 31000: 2018 Risk Management Guidelines

MS&ADインターリスク総研株式会社は、MS&ADインシュアランスグループのリスク関連サービス事業会社として、リスクマネジメントに関するコンサルティングおよび広範な分野での調査研究を行っています。

 

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